前から書こうと思っていたのですが、様子を見ていました。しかし、現状変わりなしと判断し、書くことにします。
コロナ関連で看護師不足が叫ばれ、看護協会も潜在看護師の掘り起こしに動いている昨今、一般の方々はそれを見て「あー看護師は人手不足なのか」と思っていることでしょう。実際ハローワークや就職情報サイトでは看護師募集の病院や施設がずらっと並んでいて、申し込めば就職できるレベルに見えます。
しかし一般企業といっしょで、その病院や施設に「マッチすると思われる」人材を選んでいます。そんなこと当たり前だろう、と考える人は多いでしょうが、深刻な人手不足の中でも基準を変えず、自分ところに気に入った人材がこないから採用しない→人手不足が続くという悪循環を繰り返した挙句、「うちには人がこない」と就職サイトなどに募集を出し続けるのは、本末転倒と言わざるを得ません。それが1つや2つではないのです。こういうところがたくさん存在している証拠に、同じ病院や施設が年がら年中募集をかけているのをハローワークや就職サイトで見たことある人、多いんじゃないでしょうか。どれだけ応募してきた人たちを選別してきたんでしょうね。
ここで「選ぶのは当然だろう」と人事担当の反論が聞こえてきます。私もその件については否定しません。採用してもすぐやめたり、役に立つ人じゃなかったりしたんじゃないですか?しかしそれがすべて応募した人の責任にはなりません。採用した人を育てなかった側にも、一定の責任が生じていると考えた方が良いです。すぐやめないようにする、役に立つように育てる対策をしていましたか?
もちろん良心的な病院や施設も存在しますが、選りすぐり大好きな所も少なくありません。これらの求人情報が一括して掲載されているのだから、応募したい看護師は選ぶのが大変→応募したけど落とされた→また探すサイクルに、運悪く選りすぐり大好きな所を探し続けるとはまってしまいます。時間の無駄です。そう、看護師も就職は大変なのです。そして、一般企業にもある「年齢の壁」もしっかりありますよ。
ちなみに今ニュースで言われる看護師不足は、「コロナ患者を受け入れている病院において、コロナ患者にに対応できる看護師が少ない」という看護師不足であって、コロナ以外の病院や施設で働く大半の看護師には全く関係のない話です。コロナ患者に対応するには一定の知識と技術が必要ですが、これは研修すればどうにかなります。では、なぜ看護師不足と言われるか。その大きな理由は「世間の風当たり」と「同居家族」の2点です。コロナ患者を受け入れている病院で働いているだけで「近寄るな」と言われます。また、同居家族への感染の可能性だって低くありません。この2点をクリアできる看護師を募集するしかないのです。これはなかなか集まらないでしょう。心中ご察しします。
せっかくなので最後に一言。東京オリンピック組織委員会会長発言でも話題になったジェンダーフリーですが、看護師の就職事情では明確に「男女差別」が存在します。女性9割の社会なので強くは言えませんが、男性だからと門前払いをくらうことがよくあるんです。差別社会ニッポン、男尊女卑だけじゃないことを知っておいてください。