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大阪で言われている看護師不足

kantere.jpg(関西テレビ放送より)

12月に入りました。もう今年も1か月だけですね。今年は新型コロナの影響で予定が変わった人が多かったと思います。私は5月の予定が11月に延期されたのが一番痛かったです。来年はいい年になりますように。

そこで新型コロナ関連の話を少々。今、大阪の重症者数が危険領域まで増加しつつあります。「大阪コロナ重症センター」という言葉をニュースで見かけた人もいるのではないでしょうか。新型コロナの重症患者だけを引き受けようと作られた施設なのですが、現時点で必要な看護師の半分も集められていないので「看護師不足だ」と声を上げているのです。

 

その理由として大きく2つ、報道されています。

1・大阪府内の各病院へ派遣要請をしているが思ったように集まらない

2・重症患者に対応できる看護師でないといけない(一定のスキルが必要)

 

1ですが、その病院でも対応に追われているところが多く、看護師を派遣できない施設もたくさんあると考えていいでしょう。2にしても、新型コロナにかかわらず、重症患者に対応できる看護師で今仕事をしていない人を探すほうが大変かもしれません。

ちなみに吉村知事は12月1日、不足している80人のうち40人は府内の医療機関に、残りの40人に関しては全国知事会や関西広域連合・国に派遣要請したことを明らかにしています。

と、ここまでが報道から見えることです。

 

ここから、看護師事情も含めてお話ししたいと思います。

看護協会もバックアップしているとの話なので、どのように募集をかけているのかと思い、大阪府看護協会のサイトを確認しました。サイトから抜粋します。

 

給与500,000円(日勤8回・夜勤6回程度、夜勤手当含む)+別途手当支給

白衣貸与・靴持参・宿泊施設準備(無料)・勤務前研修受講可能

応募条件:日本看護協会員であること・人工呼吸器装着時のケア経験のある方

 

まず給料。重症者の看護は文字通り「過酷」です。月50万は確かに高めの額ですし、家賃もかからないことを考えれば悪くないかもしれませんが、正直仕事量や世間の風当たりを考えたら、割に合わないと思います。

応募条件にも問題があります。日本看護協会の会員であることについて、現役の常勤看護師であれば入っている人は多いですが、非常勤や派遣で働く看護師の中には入っていない人がけっこういますし、いわゆる潜在看護師で入っている人はほぼいません。

そして、人工呼吸器装着時のケア経験を求めています。これは現役の看護師の中でも限られてきます。さらに履歴書のテンプレートにこっそり条件を追加しているのです。それは・・

 

直近 10 年程度、ICU 勤務期間必須

 

まてまて、これはいくらなんでも厳しいでしょう。この時点で応募できる看護師はほんの一握りしかいません。重症センターで必要な看護師はあと80人。これを現役以外で集めようなんて、無茶ではないですか?もし、この条件で派遣要請をかけているなら集まるほうが奇跡です。

あと心配なのは、急場しのぎで作ったコミュニティがうまく機能するか、です。ただでさえ「できる」看護師の集団。クセのある人は1人や2人ではないはず。新型コロナ重症者看護という究極の緊張感もあいまって、精神的な問題から離職者もすぐに出てきそうな予感です。

 

では、どうすれば応募してくるか考えてみましょう。まず、日本看護協会には採用後の入会でも良いなどが必要でしょう。直近10年程度のICU勤務期間は、この期間を短縮したり、第3次救急病院勤務経験など条件変更をしたりすれば応募できる人は増えます。重症者看護は何もICUだけではないですし、ある程度の素地があれば短期間の研修でフォローできると思います。給料の増加も課題です。

上記条件ではどう考えても集まらないのは看護協会側も分かっていると思います。当然、条件の緩和は既に取り組んでいるはずでしょう。

 

これに限ったことではないですが、全国的に看護師不足という割には、人材を施設側が選り好みをする傾向が見られます。選ぶのが施設の権利ならば、人材育成でなんとかするのも施設の責務ではないでしょうか。応募してくる人を不採用にしておいて「看護師不足だ」と言っているならば本末転倒です。そんなに都合のいい人はそこらへんに転がっていませんよ。

  2020/12/02   otoyabi
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